目次
1 はじめに
3月11日は、東日本大震災から9年目を迎えます。その年の4月に小学校に入学した子供たちが、今年中学3年生の卒業を迎えます。震災の影響で4月に入学式ができなかった子供たち(東北の一部の小学生)が今度は、卒業式ができない可能性が高くなってしまいました。何というめぐりあわせなんでしょう。非常に残念でなりません。
2 復興は進んでいるのか?
私も6年前に宮城県の荒浜地区を訪問した際海岸沿いには、まだがれきが残っていて津波の爪痕の恐ろしさを感じることができました。その時は、「まだまだ時間がかかるな。」と感じたのを覚えています。
皆さんは、9年たった今「復興は進んでいると思いますか?」の問いにどう答えますか?教えてください。
さて、10日の読売新聞によると、震災復興と防災に関する全国世論調査によると
①「復興が進んでいる。」との回答は、
昨年59%
今年66%に上昇!
②「震災から復興に関心がある」との回答は、
昨年84%
今年86%と高い関心を示しています。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために東日本大震災九周年追悼式の開催や一般の方々の献花の受付も取りやめになりました。残念ですが、亡くなられた方々への追悼の意を表すためにも黙とうや半旗の掲揚は必ず実施したいものです。
3 子供たちの心の中に大きなビルを!
教員になったばかりの頃、ある校長先生から聞いた話です。
ビルの工事現場で現場監督さんに、
校長先生が
「立派なビルですね。監督さんの仕事はすごいですね。」と言ったところ現場監督さんは、
「いえいえ、校長先生、このビルは四十年もすれば壊れてしまいます。先生方の仕事は、子供達の心の中に一生壊れないビルを造っています。先生方の仕事の方がもっと素晴らしい仕事ですよ。」と言われたそうです。
その話を聞き、教員は、大変な仕事だけれどやりがいのある仕事なんだなと更に職責を感じ日々努力をしてきました。
果たして子供たちの心の中に壊れない大きなビルを造ってきたでしょうか。わらぶき屋根の家だったのではないか、今となっては心配です。
4 「三匹の子豚」の話へ
さて、丈夫な建物やわらぶき屋根の家で思い出したのが、『三匹の子豚』の話しでした。
この話にも「後世に伝えたい教訓」が盛り込まれています。
「三匹の子豚」の話から
お母さん豚は、3匹の子豚を自立させるため家から出し、外の世界に送り出します。3匹の子豚はそれぞれ思い思いの家を自分で建てます。「長男の子豚はわらの家」、「次男の子豚は木の家」、「三男の子豚はレンガの家」を建てます。
しばらくするとそこへ、お腹を空かせたオオカミがやってきます。長男と次男の子豚は、家をオオカミに吹き飛ばされ、オオカミに食べられてしまいます。(絵本によっては家を吹き飛ばされた長男、次男は三男の作ったレンガの家に逃げ込み全員助かるという話もあります。)
しかし三男はレンガの家を作り、頑丈だったためオオカミに吹き飛ばされずにすみました。そこでオオカミは煙突から忍び込もうとしますが、頭がよかった三男は熱湯が煮えたぎった大きななべを煙突の下に用意し、オオカミを釜ゆでにしてしまいました。
5 この話からわかったこと
①耐震強度が大切だということ
横浜のマンションの耐震強度がニュースで問題視された(2015年)ことは記憶に新しいですね。この話は「家は頑丈に作った方がいい。」ことを伝える話だと理解できます。長男、次男が楽をしたくて手を抜き、一生懸命汗水たらしてレンガの家を時間かけて作っている三男をバカにしていた場面もあります。
②人間にはがんばれる時期があること
長男、次男のように、年齢を重ねるごとに要領がよくなり、手を抜いたり、少しでも楽をしようと考えるようになります。「若いうちの方が、努力ができるということです。」
③あらゆる事態を想定し、万全の準備をすること
3男は、レンガの家を建てるだけでなく、煙突まで作り、オオカミの侵入を想定して
大きななべまで準備する周到さ、「念には念を入れる。万全の準備が大切。」だと言うことです。
④この話が「本当に」伝えたい事
この話が本当に伝えたいことは、何でしょう?
「兄弟愛?」を描くのならば、お母さん豚が「三人で協力して一軒の家を作りなさいと子供たちを外に出した。」としてもよかったわけです。それをあえて、一人一人の自立を目指し外に出しました。そして、怠け者の豚、遊びたい豚、努力家の豚それぞれの性格により選ぶ材料が「わら・木・レンガ」と異なったわけです。
この話は「時間がかかっても地道に努力することが大切だ。」ということを伝える話です。
どんなに辛いことがあっても、「コツコツと努力することで、きっと幸せなことが待っている。」「楽すればするだけ、のちのち自分に返ってくる。」ということがこの話の教訓になっていますね。
6 おわりに
東日本大震災から9年目を迎え追悼行事が中止になる中で、日本人として3月11日の悲しい出来事を風化させてはなりません。
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