目次
1 はじめに
今日は、とても天気がよく澄み切った青空です。こんな天気のよい日は、「かげおくり」ができます。「かげおくりって何?」実は、小学校3年生の国語の教科書に「ちいちゃんのかげおくり」という教材があり、多くの小学生は、知っている遊びです。
その中で、家族で「かげおくり」をする場面が出てきます。戦時中の家族で撮った最後の記念写真が「かげおくり」になりました。今回は、その本を紹介します。
2 「かげおくり」とは!
良く晴れた日中に、広い場所(校庭や公園がいいです。)で地面に何もなく(でこぼこがなく平らな場所)自分の体が他のもの影に入らないような状態の場所で自分の影を10秒程度じっと見つめ(瞬きをしないで影の中心を見つめます)、それからすぐに空を見つめると、さっきまで見ていた自分の影が数秒映るという現象のことをいいます。道具は何もいらないので、思いついたときによく晴れていたらやってみるといいと思います。
3 「かげおくり」の仕組み
①かげおくり
残像現象を利用した遊びです。残像現象とは網膜に映った映像がすぐに消えずに残ることです。網膜に残った影の映像が空に視線を移すことによって影の形が浮かびあがります。自分のとったポーズがそのまま空に浮かびます。
②エンメルトの法則
エンメルトの法則は、残像の大きさと映る場面の距離に比例する法則です。地面と自分の距離と、自分と空の距離を比べると自分と空の距離の方が長いです。長さに比例して残像が大きくなるという法則です。
4 ちいちゃんのかげおくりとは?
絵本「ちいちゃんのかげおくり」
作: あまん きみこ 絵: 上野 紀子
出版社: あかね書房
①時代背景
太平洋戦争のころです。
②登場人物
お父さん
戦争末期のため、病弱な身体ながら出征しなければならなくなり、出征の前日に家族を連れて先祖の墓参りに訪れ、ちいちゃんに「かげおくり」の遊びを教えます。
お母さん
お父さんが戦争に行ってしまった後、家族3人で暮らしていた夏のある日に空襲に遭い、2人の子ども達の手を引いて逃げるが、人ごみの中で、ちいちゃんとはぐれてしまいます。
お兄ちゃん
お父さんが出征した後、ちいちゃんと一緒に「かげおくり」をして遊びます。空襲で家族と逃げる時にちいちゃんとはぐれてしまいます。
③あらすじ
お父さんが出征する前の日のことです。先祖のお墓参りに行った帰り道、ちいちゃんのお父さんは家族に「かげおくり」の遊びを教えてくれました。影法師をじっと見つめて、10数え、数え終えたらすぐ空を見上げると影がそっくり空に映って見えるというのです。
ちいちゃんとお兄ちゃん、お母さん、お父さんは4人で「かげおくり」をしました。影法師は、まるで記念写真のように空に映りました。
3人で生活をしていると空襲に遭い、ちいちゃんは、お母さんやお兄ちゃんとはぐれて一人ぼっちになってしまいます。
空襲で焼け出されたちいちゃんは、空腹に絶え、生きながらえようとしていました。しかし、ちいちゃんは、衰弱し、みんな遊んだ「かげおくり」を思い出し、4人で「かげおくり」をしながら天国へと旅立っていきます。その時の描写が何とも言えず、涙を誘い胸に突き刺さります。
5 おわりに
いつも「ちいちゃんのかげおくり」の学習をするとはじめは楽しそうに「かげおくり」を遊んでいますが、最後の頃になると家族がみんな死んでしまったちいちゃんのことを考えて悲しい思いになる子どもたちがたくさんいました。家族全員が死んでしまう戦争の悲惨さや小さくして命を落としたちいちゃんのことを思い学習が終わります。ぜひ、もう一度、家族で読んで、戦争がどんなものなのか、話し合って見てください。