目次
- 1 はじめに
- 2 前年度より2万6072件増え過去最多!
- 3 子供たちへの虐待とは?
- 4 虐待の種類
- 5 虐待防止のために学校にできることはなんだろうか?
- 6 地域でできることは
- 7 児童虐待防止法の改正
- 8 世界の児童相談所の数
- 9 おわりに
1 はじめに
今年の3月、千葉県野田市で小学校4年生女児が保護者による虐待により、死亡した事件は記憶に新しいところです。なぜ、学校や地域・友達が止めることが出来なかったのか?残念でなりません。
8月1日の厚生労働省まとめによると、全国の児童相談所が2018年度に相談・通告を受けて対応した数は、過去最多の15万9850件(速報値)になり、調査を始めた1990年から28年連続で増加しているとのことでした。(8月2日の朝日新聞朝刊による)そのニュースを見て非常に驚き衝撃を受け、私たちは、何が出来るのか考えました。
2 前年度より2万6072件増え過去最多!
調査を開始した1990年から28年連続で増加し、昨年度より2万6072件多く、29年度中に虐待で死亡した子供が65人いたとの死亡事例(心中の13人含む)の検証結果も公表されました。1年間でこんなに亡くなっていたとは、驚きでした。
平成20年度 42、664件
平成21年度 44、211件
平成22年度 56、384件
平成23年度 59、919件
平成24年度 66、701件
平成25年度 73、802件
平成26年度 88、931件
平成27年度 103、286件
平成28年度 122、575件
平成29年度 148,647件(+26、072件)
159、850件(速報値)
3 子供たちへの虐待とは?
子どもに対する4種類の虐待とは、以下のような行為です。
①児童の身体に外傷を生じ、又は生じる恐れのある暴行を加えること。
②児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をすること。
③ 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
④児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
4 虐待の種類
(1)心理的虐待
8万8389件(前年度比1万6192件増)全体の55%。大声や脅しなどで恐怖に陥れる、無視や拒否的な態度をとる、著しく兄弟間差別をする、自尊心を傷つける言葉を繰り返し使って傷つける、子どもがドメスティック・バイオレンスを目撃する、などを指します。(心を傷つける。)
(2)身体的虐待
4万256件(同7033件増)、殴る、蹴る、水風呂や熱湯の風呂に沈める、カッターなどで切る、アイロンを押しつける、首を絞める、やけどをさせる、ベランダに逆さづりにする、異物を飲み込ませる、厳冬期などに戸外に閉め出す、などの暴行をすることを指します。(体を傷つける。)親が子供に行う行為として信じられないですね。
(3)ネグレクト(育児放棄)
2万9474件(同2653件増)
ネグレクトは、保護の怠慢、養育の放棄・拒否などと訳されています。保護者が子どもを家に残して外出する、食事を与えない、衣服を着替えさせない、登校禁止にして家に閉じこめる、無視して子どもの情緒的な欲求に応えない、育児知識が不足していてミルクの量が不適切だったり、パチンコに熱中して子どもを自動車内に放置する、などの行為も含みます。親が大人になっていない子供のままです。
(4)性的虐待
1731件(同194件増)あった。
子どもへの性交や、性的な行為の強要・教唆、子どもに性器や性交を見せる。などが上げられます。性の道具としてしか見れない親。父親・義理の父親が多いですね。
5 虐待防止のために学校にできることはなんだろうか?
(1)早期発見・早期対応
子供たちの近くにいる先生方は、児童の変容に気づきやすいです。外見だけでなく、
そぶりや表情からも、発見は可能です。健康診断の時にただ記録をするのではなく、体のアザや傷を見つけ管理職に報告します。そのためにも相談しやすい雰囲気や場を作ることも重要です。
(2)通告の義務
アザや傷を発見したら本人から話を聞くとともに管理職と相談し、児童相談所や教育委員会に「虐待の疑い」ということで通告や報告の義務があります。通告が間違えていても訴えられることはありません。
(3)教育相談委員会
教育相談委員会で、虐待が疑われる児童や家庭の情報の交換を密にして、対応マニュアルを作成しておく。また、民生委員さんや児童相談所と情報を共有する。民生委員さんによる家庭訪問をお願いしてもよい。(事前の対応)
6 地域でできることは
(1)まずは通告(通報・連絡)しなければならない
世間が目を光らせること!(抑止効果)
児童虐待防止法6条1項は「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」と規定しています。
また、児童福祉法25条1項は「要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」と規定しています。
「通告しなければならない」と規定されていることからこれらの通告は国民の義務です。
「本当に児童虐待なのか分からない」などと、通告には一定の躊躇いが伴います。
しかし、児童虐待防止法6条1項は「児童虐待を受けた児童」ではなく「児童虐待を受けたと思われる児童」と規定しています。
これは、本当に児童虐待なのか分からないけど、「児童虐待である可能性も否定できない」という程度でも通告していいですよ。ということです。
そして、調査の結果、児童虐待ではなかったことが判明したとしてもそれはそれでいいのです。(先ほどの教員と同じ)
児童虐待に対して世間の目を光らせ(抑止効果)、早期に児童を保護することが法の目的なのです。
(2)匿名でも通告できる。通告者のプライバシーは守られます。
また、「通告したら保護者にばれるのでは?」という疑問、不安を持たれている方も多いかと思われます。
しかし、厚生労働省の「児童相談所全国共通ダイヤルについて」というページには「通告・相談は匿名でも行うことができ、通告・相談した人、その内容に関する秘密は守られます」と記載されていますから、匿名性とプライバシーの保護について安心して通告できます。
(3) 児童相談所全国共通ダイヤル
児童虐待を疑った場合は、専用ダイヤル
「189(いち・はや・く)」へ電話をかけると近くの児童相談所へ電話が繋がります。24時間対応しています。
7 児童虐待防止法の改正
2020年4月には、親による子供への体罰を禁止する改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行されます。厚労省の担当者は「痛ましい事件が続き、国民の児童虐待に関する意識が高まっており、警察などからの通告も増加している。児童虐待防止対策の強化を着実に実施し、子供の命を守る社会づくりを進めていきたい」としている。
8 世界の児童相談所の数
ドイツ 16万人に1カ所
イギリス 37万人に1カ所
アメリカ 51万人に1カ所
日本 60万人に1カ所
これを見てわかる通り、児童相談所の職員が忙しいのは、職員の数が少ないのもありますが、児童相談所の数自体が世界の先進国に比べて少なく件数が多くなってしまうのも原因の一つではないでしょうか。これは、行政にお願いすしかありませんね。
9 おわりに
核家族が進行し、隣の様子に関わりが持てず、人間関係が希薄化している現代社会だからこそ、子どもの安心・安全は学校をはじめ社会全体で守っていく必要があるのではないでしょうか?
先日のような悲惨な事件を繰り返さないためにも、ぜひ、この記事を参考にして児童虐待についての理解を深めてください。
本日も「面白くてためになるブログ」略して「おもためブログ」「私は重ため」を訪問していただき、最後まで読んでいただきありがとうございました。今回は、まじめに「ためになる話」のみです。
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